里山クヌギ化計画 (1)
2010-11-27


燃料以外の利用方法として広葉樹の萌芽更新を利用した緑肥への活用があります。クヌギは幹部を残して伐採すれば翌期には伐採部から萌芽更新が起きます。この萌芽部分を「ひこばえ」と呼びますが、若くて柔らかいひこばえは刈り取って田に鋤き込み肥料にします。また、若枝はすべて刈り取らず一部を残し成長させれば再び薪炭や椎茸栽培用のホダ木に利用することができます。定期的に剪定を繰り返すうちに元幹は太く、刈り取った部分は瘤状に成長します。この行程を数十年から百年単位で繰り返し経た状態がいわゆる台場クヌギと呼ばれるものです。山梨が有名ですが県中部の椎茸栽培が盛んな地域にも見ることができます。



(この項は山口進著「米が育てたオオクワガタ」に詳しくあるのでご一読を)


 台場クヌギとオオクワガタの関係は人間の持続可能な営みの中から生まれたともいえますが、終わりにしようとしているのも人間です。数百年かけて環境を作ったのも人ですが十数年で壊したのも人です。化学肥料の導入でクヌギの緑肥は不要になり新しい台場は必要がなくなりました。古い生きた台場も別の目的のため破壊されつつあります。

 現在地元で巨木化しているクヌギはもともと父が子供の頃(約70年前)に薪炭にするために植えた木です。必要性がなくなったため切られず残り、太いまま上に伸びて成長し極相化しました。本来この地域における極相はシイやカシの照葉樹帯です。しかし、人的攪乱によってクヌギやコナラの落葉広葉樹帯が出現するそうです。そのためであるかは不明ですが、自生しているクヌギからドングリが落ちても新たに発芽して若木が育ちにくいのも本来の植生に合わないためか、極相で固定化された場所での代謝が阻害されていることが原因かもしれません。

 生物多様性に関わる活動は広義で曖昧であり、具体的行動に結びつかないことが多いと聞きます。しかし自分の活動領域で考えてみると小さなことですが、なすべきことの答えが見つかるように思います。
 具体的には、里山の一部は広葉樹林に変わって孟宗竹林が領域を広げています。竹は成長が早く1年で林の最高点まで達し、侵食された場所の低木は数年で駆逐されてしまいます。逆に竹林化が進んでいる場所で単に竹の伐採を行うと今度は代わって葛が繁殖し一面を覆い尽くしてしまいます。広葉樹林を回復させるためには孟宗竹の代替種を育てる必要があります。そこで広葉樹雑木林の再生その役割をクヌギに引き受けてもらうこにしました。クヌギを選ぶ理由はもちろんクワガタへの趣味的関心があること。そして椎茸栽培への目的利用「生態系サービス」の継続的な利用が可能だからです。

 幸い自分にはそれができる環境があります。ただしその目的に達するための制約は、物量もさることながら時間によるところが大きく最低十年単位の期間が必要となます。トトロが近くに生息していれば話は別ですが一朝一夕にできることではありません。かといって時間の長さに躊躇すれば先送りになってしまいます。米作りもみかん作りも何年やっても年一勝負です。今できることをしないで時期を逃すと次は1年後ですから。

いずれにせよ里山のクヌギ化は木の長〜い計画になりそうなのでのんびり行きます♪
長い駄文にお付き合いありがとうございました(笑)

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