里山クヌギ化計画 (1)
2010-11-27



「里山再生計画〜竹林化阻止とクヌギが果たす役割の巻」〜www

 最近、生物多様性という言葉をよく目にするようになりました。しかし、なにか判ったようで判らない気がします。一言でいえばたくさんの生き物同士のつながりのようですが、生物多様性保全の必要性というと具体的にどのようなことを指すのでしょう。
 また、生物多様性と一緒にCOP10という言葉がセットになっています。COPとは条約の締約国会議のことでいろいろな条約の中の一つに生物多様性条約があり、今回はその10回目の締約国会議なのでCOP10と呼んでいます。
 生物多様性条約の目的を要約してみました。
@ 生物を生育環境とともに保全
A 生物資源の持続可能利用
B 遺伝資源利用からの利益配分
 これをみると@の生物&環境のセット保全はともかくAの資源利用やBの利益配分になるとエネルギー資源や食糧資源みたいに話が生臭くなってきます。そもそも@の生物・環境の保全も人間が自然から受ける恩恵。つまりは人間中心にした「生態系サービス」の維持・向上を目指すためのものであり、ゾウやライオンましてやオオクワを保全しましょうってことじゃないですね〜

 条約はともかく生物多様性保全の趣旨は陸上や水中のさまざまな自然の中に住む生物たちが互いにつながって生きていることを念頭にその種や生存環境を守っていくことにあります。
 身近なところでは生物多様性の保全面から里山のことが話題になっています。里山とは「村里家近き山を指して里山と申し候」の語源通り人間と関わりながら維持され持続可能な利用がされる畑山地区のことですが、地元の里山は荒廃が進んでいます。
 高齢化や農産物の価格低迷で耕作放棄された農地が増えているのも原因の一つですが、栽培林や雑木林に人の手が入らなくなったことが荒廃を進めている大きな理由です。




(管理されていない杉林。杉も根が張り切れず土砂崩れが発生する)

 父の話だと昔は雑木林ですら枯れ枝1本落ちていない整然とした状態であり、「生木を切るべからず」の看板もあったそうです。その時代、昭和初期まで家庭の熱源は殆どを薪や炭でまかなっていました。その熱需要を満たすため山には薪山と呼ばれる場所が各地に存在し、薪山は定期的に伐採と植林が繰り返し行われました。このように持続可能な利用することによって里山の雑木林が保たれていたのです。

 戦後になると家庭の熱源は石油・ガスの化石燃料に移行し、薪山の存在価値は低くなりました。また、折からの高度成長期と重なり住宅や建材用途の杉・檜への転換が進み(その時期一斉に植えられた杉・檜が現在どのような影響を与えているかはご推察の通りです。)残された雑木林も人の手が放れ、新陳代謝が起きにくい状態になっています。



(耕作放棄されたみかん畑。2〜3年で葛に呑まれた)


(雑木林の竹林化。上空は笹に覆われ低木は淘汰される)


 このような状態を荒廃と見るか極相化への課程と見るかでは見解が異なりますが、耕作放棄された農地での葛(クズ)の大繁殖や外来種である孟宗竹林の拡大による山の緑の単一化は植生の多様性からみても好ましくない状態であると思います。

 元々この地域の木材の利用方法は燃料用途でした。したがって長期間かけて成長する太い木材は不要であり、短期間で(といっても10年単位ですが…)成長の早いクヌギ・コナラ等落葉広葉樹が好んで植林されました。


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